仙台市は12日、積水化学工業などと、下水道管の熱を新エネルギーとして利用するための実証研究を始めたと発表した。
下水は外気温に比べ、冬は約10度高いという特徴があり、給湯や暖房の熱源として活用されることが期待される。市は研究成果を踏まえ、事業化できるかどうか検討する。
市によると、下水処理場などの大きな施設から下水熱を利用する取り組みは国内にあるが、実際に使われている下水道管を使うのは全国で初めてだという。
下水道管には風呂の残り湯などが流されており、それが外気にも触れないため、高温を維持している。
老朽化した下水道管45メートルの内側に、塩化ビニール製の補強部材を巻き付け、耐震性や耐久性を高める工事を行った。
この際に、熱媒体となる不凍液を循環させる管を同時に巻き付け、熱回収機能を付け加えた。不凍液は下水と接触せず、熱だけを回収できるため、衛生面でも安全だという。
今月8日からシステムが稼働しており、回収した熱は、同市若林区のスーパー「ヨークベニマル若林店」で総菜の加工場などの給湯器に活用する。
市では研究期間の2015年3月まで、取得したデータをもとに、事業化に向けてコスト面などの課題を整理する。